後遺障害等級認定 「相当」ってなに?

後遺障害等級は交通事故によって被った肉体的精神的な障害の程度が固定し、将来に向かってこれ以上の回復を期待できない事例を類型的に等級付けしたものです。後遺障害に該当する事例は典型的なものを網羅しており、16等級137の症状が掲載されています。しかし交通事故による後遺障害は負傷部位の機能的特性や受傷の状況、負傷した人の職業などに応じて千差万別なので後遺障害等級に該当しない症状が問題になります。
後遺障害として認められるうえで重要なのは、その後遺障害が就労能力の低下を伴うものである症状であることです。そこで就労能力の低下が認められるのであれば、後遺障害等級に合致しない症状であっても、後遺障害に準じて等級を検討するのが妥当と考えられます。これが「相当」というルールの根底にある考え方です。
「相当」の判断基準は各等級の該当しない後遺障害であっても、後遺障害に相当する症状については当該等級の後遺障害とするというものです。具体的には個別の事例ごとに判断がされることになります。
一例をあげれば後遺障害等級認定表では視覚や聴覚の障害については、相当詳細に規定されている一方で、味覚や嗅覚についてはほとんど規定されていません。これは視覚や聴覚は就労能力にダイレクトに関係する機能であるために重視されていると考えられます。
他方で味覚や嗅覚は日常生活の質には関連しますが、就労能力の低下には直結する事態はあまり考えられないからです。そこで味覚が重要な職業といえば調理師や料理人などが想定されます。例えば料理人が交通事故の受傷により味覚障害が残った場合には、後遺障害等級認定「相当」によって救済される可能性が考えられます。
後遺障害等級を受ける場合には、等級表に記載された症状だけが後遺障害と認定されるわけではないことを抑えておきましょう。

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